www.joshibi.ac.jp

「デッサンは危機に瀕している」という時代認識のもと、女子美の美術学科教員有志がそれぞれの研究領域・専門分野の観点から「描くこと」の可能性を探った第1回シンポジウムから1年。今回は「ドローイング的なるもの」をテーマに作家と批評家が語らう場として開催され、学内からは大学院博士後期課程(洋画)在籍中の朝倉優佳さんが、学外からは多摩美術大学教授の岡村桂三郎氏、彫刻家の冨井大裕氏、東北芸術工科大学教授の三瀬夏之介氏がパネリストとして登壇。美術評論家で近現代美術史を専門とする北澤憲昭名誉教授が基調講演を行い、モデレーターとしてシンポジウムを進行しました。

パネリスト4名は画家、彫刻家の立場から「ドローイング的なるもの」について発表を展開。自身の作品や制作風景の写真を会場に映し出しながら「描く」「線を引く」といったアクションを見つめ直し、言葉や文字などもドローイングの新しい要素になりうること、デッサン、スケッチ、クロッキーとドローイングの関係性、作品を制作する過程はもちろん、作品そのものにも表れる「ドローイング的なるもの」について議論を重ねました。前回に続き多くの方に来場いただいた今回のシンポジウム。作家と批評家、そして聴講者が一体となってデッサン、ドローイング、造型の現在を見つめる貴重な時間となりました。