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仲がいい、
だけではない絆がある。

短大の校舎の廊下に、並んで座っている3人がいた。その服装を見て、作業の途中だというのが分かる。「疲れちゃったから少し休憩しているところ」という言葉とは裏腹に、彼女たちの表情に疲れはない。むしろ、充実感を帯びた笑顔が自然とこぼれている。
同じ造形学科美術コースの同級生である3人は、尾崎さんと丸山さんと佐藤さん。「もっと勉強したいと思えば勉強できるのが短大のいいところ。2年で終わらせてもいいし、終わらなくてもいい。入ってからの選択肢が広かったのが私に合っていたのかな」と尾崎さんが語ったかと思えば、それに重ねるように「私は勢いで来たタイプ。よし行くぞ!先のことは入ってから考える!みたいな感じで」

と、佐藤さんが少しおちゃらけて言う。「でも、それも女子美のいいところだよね。入学してから色んな道に進める。自由に、自分のやりたいことに打ち込める場所だと思う」と、丸山さんがすかさずフォローを入れる。3人の仲の良さが伺える息の合ったやりとりだ。「それぞれ個性は全然違うけど、やりたいこと、目指しているものが同じだから仲がいいのかも」と、頷き合う仕草もぴったりだ。

絵を描き続けていく、
という生き方。

「実は私、1年生の頃は学校にあんまり来ていなかったんです。しょっちゅう遅刻してたし、提出物も滞りがち…単位もギリギリでした」と教えてくれたのは佐藤さん。「でも、この2人に出会って、“同じ歳なのにこんなにがんばってる子たちがいるんだ”って驚きました。それからです、私が変わることができたのは」。その変化には、周囲も大いに驚かされたという。「どんどん描きたいものが増えていって、今が一番楽しい。2人に影響を受けて、将来への考え方もガラッと変わりましたね。卒業したら絵に関わる仕事の就ければいいかなとなんとなく思っていたんですけど、全く違う未来を今は描いています」。3人が共に掲げている目標、それは“絵で食べていく”ということ。「楽な道じゃないのはもちろん分かっています。私も2人の話を最初に聞いたときは“そんなの無理”って決めつけていましたから。でも、絵を描くことを辞めてしまったら、それが叶えられないのも事実ですよね。だから私たちは絵を描き続けるんです」。もうすぐ短大での2年間を終える彼女たちは、3人揃って専攻科に進学し、もう1年女子美に在籍することが決まっている。

ちゃんと、
夢に近い場所。

絵を描く道に進むことへの、大学のサポートはどうか。「学校に残って制作していれば、自然と先生との会話も多くなりますし、その分教えてもらえることも増えていきます。こちらの意欲に応えようと、例えばギャラリーを紹介してくれたり、人脈を活かして縁を取り持ってくれたりもしていただいてますね」と語るのは尾崎さん。「ただ作家になりたいと1人で闇雲にもがくのではなくて、ここはちゃんと夢に近づける場所だと思う」。それはもちろん、本人たちの努力があってこそのこと。実際彼女たちは、連日寝る間も惜んで作業に没頭しているそう。特に丸山さんは片道2時間をかけて学校に通い、夜中にバイトをしながら、残り時間のほとんどを制作時間に充てているという。「将来的には、3人で一緒に住むのもいいかもねなんて話しています。考え方も、やりたいことも似ているので、きっと上手くやっていけると思うんですよ。家賃も3分の1で済みますし(笑)」

三者三様の
キャンバスを並べて。

「そろそろ作業に戻りますね」と言う彼女たちに、最後に絵を見せてほしいとお願いをしたところ、快く教室に案内してくれた。壁に掛けられた数枚の絵。それぞれ自分の絵の前に立ってもらうと、絵も彼女たち自身も一層魅力的に見えてくるから不思議だ。やはり彼女たちは、強烈な個性を互いに示しながらも、確実に同じ方向を向いているのだろう。

丸山純奈「たまゆら」
油彩、パネル/H910×W1167mm
佐藤步咲「黄色いワンピースの少女」
油彩、キャンバス/H1167×W910mm
尾崎里樺「empty creature」
油彩、パネル、ミューグランド、綿布/H1167×W910mm
丸山純奈「ねこむすび」
油彩、キャンバス/H1620×W1620mm
佐藤步咲「赤いカーネーション」
油彩、キャンバス/H1620×W1940mm
尾崎里樺「pupa」
油彩、パネルに綿布/H1920×W1620mm

※2018年10月に取材したものです。