大学院美術研究科
博士前期課程 デザイン専攻(2年制)

多様化し続ける21世紀のデザインに対応した7つの研究領域を設置。理論と機能の両面から専門性を高め、デザインと社会との関わりと高いレベルで意識していくことで即戦力を育てます。
 

メディア研究領域

メディア研究領域では、変化し続けるメディア社会に対する研究の視点から人間生活の本質を探求するアート・デザイン表現と先端的なメディア・テクノロジーを活用した新しい体験の創造を追求します。芸術と技術を融合させながら、表現者・研究者として柔軟かつクリエイティブな提案を社会へ発信することを目標とします。本領域では、平面的な視覚表現にとどまらず、時間的・空間的要素を含む総合的な表現を実践し、人と人のコミュニケーションを主題とした表現と研究を行います。さらに実社会との連携を重視し、企業や研究機関との協働を通して、次世代のコミュニケーションや表現のあり方を探求していきます。

ヒーリング研究領域

現代社会は、商品化された「癒し」に満ちています。それは例えば「柔らかさ」や「温かさ」といったある特定の性質を持つプロダクトとして、あるいは「慰め」「愛らしさ」「優しさ」などの感情を喚起する文脈を帯びたコンテンツとして存在しています。

これらは、現代を生きる個々人の希求に応えるものとして作り出されたものですが、同時にこの社会が内包する、癒しを欲する大きな力動の現れとして捉えることもできるでしょう。現象としての癒しを考える時、私たちはそれが発現する個だけでなく、医療・福祉などに関するボランティアや社会活動の経験を通じて、社会全体を見据えていく視座を持つことも必要です。

これらを踏まえて、ヒーリング研究領域では、以下を研究の対象とします。
・社会課題の解決や改善をアート・デザインによって試みる研究。
・多様な人々の出会い、コミュニケーション、関係性の築きをデザインする研究。
・セラピューティックな経験を目的とした表現およびその手法に関する研究。

研究手法としては、アクションリサーチおよび制作上の手法、技法研究を想定しています。またその研究の先に、広義のアート・デザインを媒介とした健康な社会づくり、ウェルビーイングがあることを求めています。

ファッションテキスタイル 研究領域

 人は何のために衣服を身につけてきたのか?
 そして、衣服は何のためにあるのか?

衣服は、身体保護、装飾性、身分の証、そして自己のアイデンティティを示すなど、様々な役割を果たしています。このことを踏まえながら、日常における自然な行為を再認識し、身体や社会が提起する問いに対する答えとしての衣服や、その多様性、さらには身体や衣服に対する概念について、様々な視点から考察を深め、研究し、社会への還元に目を向ける必要があります。

本領域では、自己の存在と向き合いながら、人と空間、人と環境について考察し、衣服と身体の関係が、社会の中でいかにあるべきかを思索し、作品制作と論理的な研究へと繋げます。具体的な活動として、日本の伝統繊維の地域プロジェクトは、その土地の気候風土や文化の調査研究を基に、ワークショップや新しい発想から作品制作、発表へとつなげます。また、テキスタイルや衣服は、人の心を支え、社会参画を促すコミュニケーション・メディアとしての役割を持つことから医療や福祉との活動、ファッションやテキスタイルに関連するプロダクトデザインの企画、制作など、企業との共同研究の取り組みも推し進めます。

各人は、アートやデザインの他領域の人や物との交流や衣服・テキスタイル・繊維等の多様な研究をもとに、それぞれの研究テーマについて考察し制作に繋げます。

アートプロデュース研究領域

「アートプロデュース研究領域」では、アートという存在が視覚芸術、音楽、演劇といった表現だけではなく、広く政治、経済、教育、福祉を含む人間の営みに根差した「社会そのもの」であると捉えます。「表現者」と「表現を世界に届ける者」の双方の視点に立ち、新たな社会をデザインするための実践研究を行います。

アート・デザインに関するさまざまな表現方法や知識を深めるとともに、ミュージアム・スタディ、アーティスト・イン・レジデンス、フィールドワーク、アートプロジェクト、ソーシャリー・エンゲイジド・アート、セルフ・エデュケーションなどの多様な分野を対象とします。

これらの実践を通じて、アートの社会課題への介入と、それらの取り組みによる社会変革への可能性と意義について学びながら、各自の制作や研究に取り組みます。

共創デザイン研究領域

ヴィジュアルデザイン研究領域

人類の発生と同時に人間はコミュニケーションを通じてさまざまな文化の発展と継承を行ってきました。人間社会の中でテクノロジーの発展に伴い情報は多様化し、コミュニケーションの媒体は、複雑化しています。情報発信は、膨大な情報の渦から選択され、迅速に、正確に、必要情報を伝えなければなりません。時には双方向で伝えあうことが必要とされるようになりました。高度情報化社会の中で、視覚デザインの持つ意義はますます大きくなり、加えてグローバルデザイン、ユニバーサルデザインの視点も求められています。

ヴィジュアルデザインでは、主観的に捉えるイマジネーションを、言語でいうならば標準語としての造形言語を基礎にし、自己の独創性がさまざまな視覚伝達機能と共存させられるかを、ひとつの問題提起として実験研究するものです。

制作研究のテーマについては、各自が設定したテーマによって、視覚造形として多角的に研究していきますが、グラフィック表現をはじめ、出版、タイポグラフィー、イラストレーション、ブランディング、それらのアートディレクション、そして視覚造形表現の可能性を追求する純粋なビジュアルアート研究までを含め制作研究の領域とします。

プロダクトデザイン研究領域

プロダクトデザイン研究領域は、社会・人・モノにおける課題を解決し、人が心豊かに生活するためのより良い未来を指し示すデザインです。

現代のプロダクト開発は、これまで人の欲求によって多種多様に行われてきましたが、現在は「社会課題に対応する発想を起点にして、人の生活を快適で心を豊かにするライフスタイルの中に存在する」という利他の価値観へ大きく方向転換しています。

これを満たすには、新しい素材や技術だけでなく古くから人の生活に根差し環境に負荷をかけない素材や技術を見直して現代へ応用する研究、または新しい素材・技術と古くからある素材・技術と複合し異分野の業界が連携する取り組みを想定するなど、モノが作られる要素を分解・分析して未来を描くことを研究の領域としています。

モノの機能や造形表現の研究は、先に挙げた上流の思考の上に成り立つものであり、広い視野で社会課題の解決を目指すことを含みます。未来へ向けたオリジナリティある視点を自由に探求する場として支援します。

環境デザイン研究領域

環境デザイン領域は、人と空間・環境の相互関係をデザインし、21世紀の新しい生活環境を研究する場です。

20世紀の近代デザインは、人々が共に健康で豊かな生活ができる社会の実現を目指しましたが、科学技術や社会構造の急激な変化が引き起こした資源浪費や環境破壊などのマイナス面に十分な対応ができませんでした。その解決が求められているのが現代であるといっても過言ではありません。

本研究領域では、インテリアデザインと建築・都市デザインを通して、人にやさしい生活空間と持続可能な都市環境への提案を行います。そのために手と目から思考する自由で高度な研究・創造活動を支援します。

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