本学卒業生で現在イタリアのミラノを拠点に活動されている美術家の高橋香菜子さんが、アソシアツィオーネ・アルテ・エ・スピリチュアリタ(コンチェーシオのパオロ6世コレクション現代美術館の運営団体)が主催するスピリチュアリティをテーマにした優れた芸術提案を表彰する「第5回パオロ6世現代美術賞」を受賞しました。2026年秋には受賞を記念した個展が開催される予定です。
受賞者の選定は、グループ展に出展された作品と将来の個展プロジェクトの両方をもとに行われました。ディレクターのジュリアーノ・ザンキは次のように説明しています。「まず今年のパオロ6世現代美術賞には110件の応募がありました。グループ展に選ばれた作品はいずれも非常に高い水準であり、ファイナリスト6名が提出した個展プロジェクトもすべて興味深いものでした。そのため、1名の受賞者を選ぶのは決して簡単ではありませんでした。その中で、高橋香菜子さんを選んだ理由は、彼女の芸術提案の深さと厳密さによるものです。彼女の表現は静かで本質的ですが、誰にでも語りかける力があります。非常に繊細で敬意をもって、喪失や記憶といった普遍的なテーマに向き合い、それを親密で共有可能な視覚体験へと変換します。鑑賞者に、本物で開かれた思索の場を提供してくれるのです。」
ファイナリスト展で高橋さんは、『Voci alla Finestra. Lo spazio liminale tra memoria e oblio(窓辺の声―記憶と忘却のリミナルな空間)』(2022–2025)を出展しました。この作品群では、窓がリミナルな通過点のメタファーとして描かれ、内と外、闇に隠れたものと光の中で現れるものとの象徴的な境界を示しています。光はこの研究の中心的要素です。このプロジェクトの起点は、母が亡くなる直前に窓から見た風景にあります。母の死が、存在と不在の境界についての詩的な思索の序章となりました。
【高橋さんの受賞コメント】
受賞者に選ばれたことは大変光栄です。ディレクターのジュリアーノ・ザンキ氏と審査員の皆様には深く感謝しています。私の作品では、静寂と光、待つ時間のある場所を探し、不在が生きた存在に変わる瞬間を描こうとしています。この賞が芸術とスピリチュアルな次元との対話を重視する感性に、私は深く共感しています。これからの活動においても、感性と献身をもって新たな道を歩みたいと思います。
高橋さんは昨年12月発行の本学広報誌No.202にて海外で活躍する卒業生として取り上げました。ぜひご覧ください。