シンポジウム『美術と工芸「素材・色・音」から―SDGs時代の共通の感性―』を開催しました

10月9日(水)に相模原キャンパスにて、イギリス・バーミンガムシティ大学(以下BCU )の先生方および粉体工学の先生と共に、本学の特色ある天然顔料研究のシンポジウムと研究成果展示『美術と工芸「素材・色・音」から―SDGs時代の共通の感性―』を開催いたしました。本学では、2017年より先端的な顔料粉砕研究と繋げながら美術工芸における天然顔料、色材の可能性を拡げることを目的とした海外協定校とのオンライン共同授業を行ってきました。 シンポジウムは3時間に渡り、8名の先生が講演されました。

□大阪大学 名誉教授 内藤牧男先生

粉体工学の観点から、粉体を作る方法を解説。この技術を応用し、絵具を作るなどの共同研究に繋がっていることを紹介いただきました。

□女子美術大学 サイモン・コスグローブ先生

音を色で知覚する関係について解説。人はサウンドカラー共感覚がある一方、本学とBCUの共同授業で行った実験により、文化や環境によって連想される色が変わることを報告いただきました。

□女子美術大学 元教授 坂田勝亮先生

色彩と言語について、どのように人が色彩を認知しているか脳科学の分野から解説。言語の差異と色彩感覚に深い関わりはなく、言語になる前の段階から色を認知・判断していると発表されました。

□女子美術大学 宮島弘道先生

天然顔料と日本画の関係について解説。自身の作品を具体例に現段階の模索と今後の日本画の発展・展開をアーティストの視点から述べました。

□Birmingham City University  Zoe Hillyard先生

BCUで行っている取り組みの紹介。持続可能な社会を実現するための自然を中心としたカリキュラムを提案しました。また、自然由来の色が今後どのように必要とされるか、その重要性を述べました。

□Birmingham City University  Joss Burke先生

自身の庭園から発展した、素材・制作・展示について発表。場所を由来としたものの重要性や、その魅力を伝えました。

□女子美術大学 荒姿寿先生

本学で作った天然顔料を用いた作品とそれに伴う、試作や研究について発表。合成顔料や化学染料を使わずとも、天然のもので布の風合いを生かした実用性のある顔料が作れることを報告しました。

□女子美術大学 名誉教授 橋本弘安先生

岩絵具(顔料)と粉体工学の関わりを解説。人工顔料・染料でしか出来なかった事が現代の粉体技術から天然顔料で出来る事を世界に先駆け実証し女子美術大学は、持続可能な社会における次代の美術・工芸を世界と模索している事を発表しました。

今回のシンポジウムは、一見異なる分野でありそうな『美術と工芸「素材・色・音」』を、「色」という事柄で集約しています。「色」を表現するもととなる「物質」を、現代の粉砕・粉体技術を用いてサブミクロン粒子とする事は「天然顔料」をそれまで関連がなかった絵画以外の分野にまで発展できました。その先駆的研究は、現代の生活に自然を取り込み、持続可能な社会・SDGs・環境問題へも寄与できます。この研究は、女子美での分野横断研究、(一社)粉体工学会など関係団体との連携が生んだ今後も続く本学の世界的な独創性を持つ研究成果です。

当日は、シンポジウムの他、Birmingham City University のLorna Rose先生による、芸術文化専攻・洋画専攻の学生への特別講義や、内藤牧男先生・橋本弘安先生による対談を交えながらリニュアルされた本学の顔料創造ファクトリーの見学も行われました。

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