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表現することは、
楽しいことなんだなって。

小さな頃から絵を描くのが好きだったという大島さん。美術に興味を持ったのは、幼稚園のとき。「母が粘土でトトロを作ってくれたのがすごく嬉しくて。物を作ったり、絵を描いたりすることで自分を表現するのは楽しいんだなって感じたんです」。その頃の思いは変わることなく、地元埼玉の美術科のある高校に進学。指定校推薦枠のある大学のなかに、女子美を見つけたのだといいます。「女子美祭に行くと、学生がみんな生き生きしていました。女の子の作る可愛い美術という気がして、自分のやりたいことに近いなって思ったんです」。

大島未鈴さん

デッサンと手製本のポートフォリオを準備し、挑んだ指定校推薦入学試験の面接。厳しい雰囲気なのではと心配していた大島さんを、面接官の先生たちは温かく迎えてくれました。「すごく緊張してたんですが、面接会場に入ろうとしたとき、作品で両手がふさがってドアを開けられずに困っていたら、先生が開けてくださって……(笑)。入学後に、面接してくださった先生にお会いしたら名前を覚えていてくれて、本当にありがたかったです」。

好きなものに一生懸命で、
自立している同級生たち。

高校生の頃に感じた女子美像は、入学から8か月経った今でも変わらないそう。「女子美は可愛い女の子たちが、それぞれ自分の好きなように咲いているお花畑みたいな場所だなと思います」とのこと。「仲も良いです。でも『同じ授業を取ろう』みたいなことはないですね。みんな自分の受けたい授業ややりたいこと、好きなものに一生懸命で、自立しています」。
そんな仲間に囲まれ、彫刻などの実技を学べる毎日がハッピーなのだという大島さん。自分の作りたいものを課題のなかでどう表現するかや、プレゼンテーションで「なぜ作ったのか」を言葉にして伝えるにはどうするか悩む日もありました。「でも、美術がやりたくて入学したので、どの授業も楽しいんです。学ぶべきことが多くなったなと思います」と、まっすぐで力強い思いを語ってくれました。
「経験豊富な先生が私の作品を見てくれると思うと、嬉しくて。今は女性のモデルを見ながら塑像の制作をしていますが、苦手なデッサンに近いものを感じてつらいです(笑)」。

大島さんが作業するアトリエ

制作の様子を見せてもらいにお邪魔したアトリエ。最初は照れ笑いをしながらも、作品の前に立つと一瞬で真剣な表情に変わります。「頑張ればもっと上手くなれる。先生が教えてくださったところを直すと、必ず気づきがあります」。

作業する大島さん

やりたいことにひたすら
挑戦し続ける喜び。

実家からの通学には片道2時間半かかるそう。「普段は朝5時半に家を出ます。放課後に友達と話していると帰宅が22時くらいになることもあって、行きも帰りも太陽が見れないんです(笑)」。それでも学外では、ボランティア活動の一環として子どもたちを対象にした木工制作のお手伝いをしたり、人形教室で好きな球体関節人形を作ることもあるそうです。入学前に感じた「制作時間を取れるか」という不安をものともせず、興味を持ったことにひたすら挑戦し続ける多忙な日々。「やりたくてやっているから」と笑顔で教えてくれました。

大島さんの大学生活は始まったばかりですが、すでに卒業後のことも考えているのだそう。「絶対に就職がしたいです。ただ、立体アート専攻の課題だけだと、希望の進路に必要なデザインができないので、そこは自分で先生をつかまえて、教わる機会を作っていかなきゃって思います」。
終始パワフルで前向きな様子が印象的だった大島さん。この先の女子美生活でも、まだまだ縦横無尽に新たなことを吸収していくのでしょう。

※2019年12月に取材したものです。