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大学院美術研究科 博士前期課程 芸術文化専攻[2年制]

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芸術文化専攻

継承されてきた価値と新しい価値に一貫した知の体系を築き上げる

過去から現在、そして未来へと創造を続ける美術は、人間の永遠の表象行為として多義性に満ちています。 多様な表現世界が展開する今日、社会的な美術の構造分析に対する求めに応じ、芸術文化専攻は「色彩学」「美術史」「芸術表象」「美術教育」の4 研究領域により、美術の色・歴史・表現・教育に関する高度で多元的な美術理論研究の構築を目指します。
「色彩学」は、色彩の心理的側面と光学的側面の2つの立場から色彩の実相に迫ります。また「美術史」は西洋美術史、日本・東洋美術史、日本近代美術史の各分野において、作品や作家、制作状況等に関する歴史的解析を行います。「芸術表象」では、サブカルチャー・ポップカルチャーを含む現代のアートシーンを見据え、美術に近接する文芸や批評、図法等によるイメージ分析などを通して、新しい学際的美術研究のかたちを提供します。さらに「美術教育」では実技制作と理論研究の両面から高度な知識と技能を持った美術教育者の育成を目指します。
いずれの研究領域とも、制作と鑑賞の双方に立脚した美術大学にふさわしいカリキュラムを編成し、将来の研究・教育・言論等の各ジャンルで活躍が期待される人材の育成を図ります。

  • 色彩学研究領域
  • 美術史研究領域
  • 芸術表象研究領域
  • 美術教育研究領域

色彩学研究領域

人間は「視覚的動物」であるといわれるくらい、外界の情報を「見る」ことによって採り入れています。 このため美術、娯楽、学問、生活など多くの場面において「見る」という行為は人間にとって非常に重要な役割を果たします。「見る」ことによって形や奥行き、動きなどの情報を得ることができますが、人間の視覚メカニズムは色を見るためにできており、色の知覚から形や奥行きを知るようになっています。
つまり色彩は人間の生活・文化活動にとって第一義的に重要な要素であり、芸術、癒し、娯楽、生活などを考える場合に非常に重要な役割を果たします。
そこで色彩について学問しようと考えるとき、色彩のもつ2つの側面に注目する必要があります。 まずひとつは、色は人間の内部に生じる心理的現象であるという点です。色は目に入った光から我々の脳が創り出す感覚であり、個人的な心理経験です。 このため知覚、記憶、言語、感情、文化などさまざまな人間の心理活動に影響を持ちます。そこで色彩の現象的側面を研究しようとするには、心の働きを知るための心理学的手法を学ぶ必要があります。 人間の心の中に生じる各種の色彩現象を客観的に把握するための心理学的原理、調査・実験手法、データ処理、そして研究姿勢などを中心に学ぶ必要があるのです。
もうひとつは色を生じさせるための原理です。色という感覚が我々の心理過程に生じるためには、その原因となる物理的存在が必要となります。作品をつくるとはまさにこの要因を作ることであり、どのようにすればどのような色が生じるのかを知ることが重要です。色の原因は主に我々の目に入る光であり、照明デザインならずとも創作するものにとっては見る者の目にどのような光が入りどのように見えるのかを知ることが重要です。
本研究領域ではこれらの色彩の心理学的側面と物理・光学的側面の両面から研究を行い、大学で学んできた色彩学の知識や技術をさらに発展・展開させていきます。 そしてそのうえで各自のテーマをより明確に解明していくことができるよう、より詳細な分野にわたり指導を行います。

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美術史研究領域

本研究領域には、西洋美術史、日本・東洋美術史、日本近代美術史の研究分野があります。 美術史研究は、美術作品が制作された当時の歴史的文脈を明らかにするとともに、人間の営みとしての美術の役割、その今日的な意義を検証するものです。
長年にわたって構築されてきた人文科学・社会科学の方法論を踏まえることはもとより、近年の隣接領域のさまざまな研究方法や成果を柔軟に取り入れながら、美術史を構成する基本的な問題としての時代様式や作品の分析、作家論、受容史などにアプローチします。
本研究領域の研究指導科目である「美術史研究」や「美術文化特殊研究」、共通理論科目の中の美術史系科目のほか、共通実技科目である「芸術創作応用」を選択することにより、素材の研究や表現技法の研究など美術大学ならではの科目を履修することができ、それによって芸術家のより具体的な創造の源に近づき、多角的な美術史研究が可能になるでしょう。
また、関連演習科目として、文化財の光学的分析など先端技術を採り入れた「科学調査演習」、文化財の保存修復の諸問題を扱う「保存修復演習」を開設しており、共通理論科目の「鑑定分析法」も含め、美術史をいわば理論と応用の双方から学ぶことができます。
 このように本研究領域は、現代社会の多様な要請に応えるべく幅広い教育環境を提供し、将来の様々な活動への展開が可能な美術史研究の新たな方向を目指しています。

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芸術表象研究領域

今日の芸術は、社会の変化や技術の革新に伴い、従来にはない多様な発展を示しつつあります。本研究領域では、最新の芸術理論、批評理論を参照しながら、今日の表象を、文化的、社会的、思想的に探求するために努力していきます。分析に必要な関連分野を深めることはもちろん、必要に応じてときに大胆に領域を横断し、各問題を相互参照したり綜合を試みることによって、芸術を基軸とした新たな知の在り方、表現の在り方を探っていきます。
芸術活動は、ひとりの人間が想起したことを、何らかのかたちで世界に提示する行為です。そのため、その理解、分析、研究には、精神、行為、そして社会という広範な領域に曇りない視線を送ることが求められることになります。また必要に応じて、種々の実践を行ったり、経験してみようとする行動力や実験精神も重要になります。そのため本研究領域のカリキュラムは、理論と実践の両面を意識したものになっています。現代の芸術表現に隣接し、深い関連をもつ表現ジャンル(思想、文学、映像、建築、デザイン、サブカルチャーなど)、社会活動(アクティヴィズム、地域創造、共同体理論、実践的態度など)についての考察はもちろん、作品の制作やキュレーション、ワークショップ、ディスカッション、アーカイヴ構築など、関連するプロジェクトの実践についても積極的に取り組んでいきます。
以上のような方針のもと、専門的な知識はもちろん、ときに学際的な領域を横断できる柔軟な発想で、実際にそれを実践することのできる芸術理論の研究者、あるいは芸術理論に基盤づけられた表現者を輩出することを目指します。

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美術教育研究領域

本研究領域では、実技制作と理論研究の両面から、美術の教育的意義や美的な人間形成、あるいはさまざまな美術教育の方法論について研究します。そのためのカリキュラムは、美術教育に関する科目を始めとして、実技制作に関する科目、美術理論に関する科目から構成されます。
まず、実技制作は、共通実技科目である「芸術創作応用」を選択することにより、大学の段階で自分が専攻した分野以外のさまざまな分野の実技制作を行います。 たとえば、大学で絵画を専攻したとしたら、大学院では絵画以外の彫刻、デザイン、工芸など、専門的な技術を幅広く習得し、それによって広い視野で美術を見つめる能力、表現する能力を身につけます。また美術理論では、共通理論科目からさまざまな美術史、美術理論・造形理論を学習する機会が準備されています。
そして、本研究領域の中核である美術教育に関する科目では、学校教育における美術教育のみならず、社会教育・生涯学習における美術教育まで含めて、表現することの根源にある思想や人間形成における美術の本質的意義、あるいは病める心に対する美術的な働きかけなどについて学びます。すなわち、学校教育場面で必要な絵画・彫刻・デザイン・工芸などの指導法の研究はもとより、美術館での教育活動やワークショップを理論的に研究し、さらに美術教育で養われる「情操」や「感性」とは何なのか、病める心に対する芸術療法とは何をどう治療しようとしているのかなどについて、心理学的、脳科学的なアプローチから研究します。いわば「美術の力」を学問的に探求していくことで、これまでとは一味も二味も違った発想や理論的基礎を持った美術教育者の育成を目指します。

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