〇今の仕事(美術監督)について
映画やCM、テレビ番組や演劇などで、役者さん以外の多くの所を、お話やお題に沿って考え、この世界に本当にあるような物にまでつくり上げていく仕事をしています。セットとか舞台とか言うとわかりやすいでしょうか。
まず、自分一人で、みんなに伝えるためのイメージを描きます。
次に、そのイメージをもとに実際に世界を創り上げていく作業をします。しかし、これは一人で行うのではなく沢山の人達と一緒に行います。その人達と共に、いかに自分のやりたい事や物を仕上げていくかが、大きなやりがいと楽しみとおもしろさです。
そして、仕事はまだ続きます。
出来上がった物を撮影するのです。撮影現場の一つ一つの画づくりも私の仕事です。
例えば、映画のワンシーンで地面に落ちている枯葉一枚の場所。こういったところも裏で誰かが決めています。
みなさんも、そういった視点でいろいろな作品を見てみると、新しい発見があるかもしれません。
ざっと、このような一連の作業が美術監督の仕事です。簡単に言うと裏方です。画面には決して出てこない所でこっそり面白い事をしている人です。
〇付属生時代について・思い出に残っていること
子供の頃から、お話に沿って絵を描くことが好きで、それを仕事に活かせないかと思っていました。
そして、中学生の時に、映像の中の役者さんやミュージシャンの奥にある世界を見つけてしまったのです。
しかし、その世界の入口が全くわからなかったので、とりあえず絵を描いていれば何かが繋がっていくのではないか、と思い女子美を選びました。私にとって高校から美術を学べる学校が女子美でした。
入学後は、勉強のとても苦手な、そしてなぜか目立つ生徒にはなってはならん、と心に決めていた付属時代でした。勉強が苦手で、先生方にとても心配された事が思い出に残っています。
今の仕事は、とにかく色々な経験がものをいう仕事なのですが、そうして付属で送ってきた学校生活のすべて、通学路に至るまで、何かしら頭の肥やしになっていると思います。
〇受験生・付属の後輩に向けて
少し長く仕事をしてきてわかった事は、その人から出てくる物は、
みなさんには、なるべく色々な物を観たり聴いたり嗅いだりして感
知らないうちに、その体験が頭の引き出しに収まっていく事でしょ
そして自分がこの先、何になりたいとか何がやりたいとかが具体的
これは、先輩からのとっておきのお知らせです。
桑島 十和子 KUWAJIMA Towako(美術監督 美術デザイナー プロダクションデザイナー 女子美術短期大学 客員教授 株式会社 サラダルテ 取締役)