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四年制の美術大学で
ファッションを勉強できる場所。

高校の部活動ではミュージカルをやっていたという松田さん。高2の頃から、将来は舞台に関わる仕事に就きたいと考えるようになったのだそう。
「調べていくうちに、舞台のお仕事にもいろんな分野があるということを知って。そのなかでも私は衣装の分野で舞台に関わりたいと思うようになりました。それで、大学ではファッションの勉強がしたいと思ったんです」。
進路を決めるにあたっては、専門学校ではなく、四年制の美術大学で勉強がしたいという強い思いがあったといいます。
「小さい頃から絵を描くことや、アートが大好きだったので、美術大学でファッションを勉強したくて。幅広く勉強をしながら一番やりたいお洋服のことを勉強できるかなと思って志望したのが、今の専攻です」。

手を動かすことで見えてきた、
自分の適性。

授業では、服作りに関する演習はもちろん、綿花から糸を紡ぐという服飾の本質的なことから、自ら体を動かすコンテンポラリーダンスまで幅広く学んでいるそう。大学2年生のときには学校のインターンシップ・プログラムに参加し、舞台衣装の会社へ週に3回ほど通っていたことも。現在授業で作っているのも舞台用のドレス。まさに夢に向かって着実に歩んでいるように見える彼女ですが、大学生活で見えてきたのは決してポジティブなものだけではありませんでした。
「最初はデザイナーのようなクリエイティブな仕事をする人になりたいと思っていたのですが、学んで実際に手を動かしていくなかで、今まで抱いていた自分像とは、良くも悪くも違う面がいっぱい見えてきて。周りのみんなの作品の面白さに圧倒されたり、いろんな先生と対話をしていくうちに、私は“誰も見たことがないような新しいもの”を作ることには向いていないということに気がついたんです」。

そのときに、改めて「どうして女子美に来たんだろう」と自問自答をしたのだそう。
「小さい頃に、両親が絵本の美術館に連れて行ってくれたことがあり、そこで絵本作家のエロール・ル・カインを知ってすごく感動したんです。それからというもの、古い映画に出てくるような、オールド・スタイルのデザインや衣装が大好きで。そういうものを自分なりに再構築して、こんなに素敵なものがあるんだよ、と新しく提案していく方が自分には向いているなと思ったんです。今作っているドレスも20世紀初めの絵本の世界観を基にしています。そのことに気がつけたのも、女子美が個性の寄せ集めみたいなところだからかもしれません。それぞれのファッションも、髪の色もさまざま。自分の世界観を突き詰めていて、何かを作りたくてここに来ている人たちが並んで座っているのを見るだけでも面白いですね」。

エロール・ル・カイン作品集
目下の課題の参考にしているという、絵本作家エロール・ル・カインの作品集

専攻をまたいで作り上げた
ファッションショー。

2019年の文化祭で、松田さんは大きな挑戦をしました。ファッションテキスタイル表現領域の3年生有志による、歴史あるファッションショーの代表を務めたのです。
「立候補者が誰もいないし『じゃあ私やるよ』と言って代表になった感じなんですけどね(笑)。実際にショーで見せるものを作っていくというよりは、メンバーをマネージメントして、スケジュールを立て、どんなショーを作っていくかをまとめる役割です」。
人と話すことが好きだという松田さん。今回のショーでは新しい試みを取り入れたのだそう。
「例年は領域のメンバーのみでショーを作っていたのですが、今年はアートプロデュース表現領域の子に演出を頼みました。普段は関わらない他領域の子たちに演出面をお願いすることで、自分たちだけじゃできなかったことができるようになったというのは大きな経験でした」。

来年度は4年生。卒業制作も控え、いよいよ本格的に進路を考える年に。
「進路はまだ全然決まっていないんですが、やっぱり衣装関係の仕事に就きたいですね。これから就活が始まるので、今はいろんな企業を調べ準備をしているところです」。
学生のうちにやっておきたいことは? と尋ねると、松田さんの瞳が輝きました。
「授業とは関係ないところで自分の作品を作ってみたいなと思っています。それから、大好きなミュージカルの舞台をいっぱい観に行きたい。時間があるうちに経験できることをしたいなと思っています」。

※2019年12月に取材したものです。