www.joshibi.ac.jp

「環境」は身近にあって、
肌で感じられるもの。

「もともと空間のことを考えるのは好きで、何かに行き詰まったりすると部屋の模様替えとかをしていたんです。環境って身近だし、肌で感じられるものなので、大学ではそういう分野のことを学びたいなと思っていました」。環境デザイン専攻1年の石川さんはそう話します。

女子美に入ってまず印象深かったのは、選択実技などで触れられる表現分野の幅広さだったそうです。「環境デザイン専攻の教授からも『環境ばかり見ないで、視野を広く持ってほしい』といつも言われていて」。

女子美生のイメージを一言で言うと? と尋ねると、即座に返ってきた答えは「アーティスティック」。「デザインの専攻だから、整理整頓ができたりシビアな人が多いのかなと最初は思ってたんですけど、『こんな感じ』とフィーリングで課題を提出する人もいて。でも、そういう考え方も全然OKだよという雰囲気です。自分がすぐに頭でっかちな作品ばかり作っちゃう一方で、思いもよらない方向から『そういう考えがあったんだ!』と驚くものを作る人もいます。なので私も入学前よりだいぶ考え方が柔軟になっているなと思います」。

いくつもの経験がつながった
1年生最後の課題。

最近講評が終わったという、1年生最後の課題。クラスメイトのひとりがクライアントとなり、その人のアトリエ空間を計画するというテーマでの制作のなか、石川さんは大きな手応えを感じたそうです。
「点と点がつながったような気がしました。今までの授業で学んだ知識や経験をまとめて表現できたなと。自分は将来、インテリアコーディネーターなどの道に進みたいなと思っているので、分野的には今回の課題が一番やりたい分野に近かったですね。模型も、やっと本格的なものを作れました」と語る表情には、感慨深さが滲んでいます。

それでも、意外なところで壁にぶつかったとか。「模型はできるんですけど、それをプレゼンするためのボード制作ではグラフィック的な表現も必要なので、ヒーヒー言いながら作りました」。
高校でも美術を専攻してきた石川さんは、その経験ゆえに、女子美に入学する前から平面表現に対する苦手意識が少しだけあったそう。「本当にパソコンが苦手なんですよ」と苦笑しつつも、グラフィックソフトの解説書を探して読んだり、7月のオープンキャンパスでは学生スタッフとしてイベント用のポスター制作を担当したりと、克服のためのチャンスは逃しませんでした。「あまり抵抗感を持つとデザインに影響しちゃうので、持たないようにしているんです」。自分の弱点を見つめ、ひたむきに経験を積んでいくのが石川さんの何よりの強みなのでしょう。

学生スタッフとして制作したイベント用ポスター

先人のアプローチも
自分のフィルターにかけてみる。

これからの学生生活で挑戦してみたいことを聞いてみました。「海外に留学してみたいです。就職するとなかなか機会がないと思うので、自分の経験値を貯めるためにも行ってみたいなと」。留学先はオーストラリアと決めているそう。その一方で、すでに活躍しているアーティストやデザイナーの作品を観て自分の制作に活かすことにも意欲的です。「リチャード・セラという、(板金などを用いた)巨大な造形物で空間を作る彫刻家がいるんですけど、これからの課題ではその人のアプローチを取り入れてみて、ちょっとでも意図を理解できたらいいなと思います。憧れというよりは、まずはやってみたいというか」。

一見、1年生ながらも落ち着いているように見える石川さん。それでも彼女が発するひと言ひと言からは、どんな経験も自分の糧にしていきたい、という一貫した熱意を感じました。

※2019年12月に取材したものです。