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アートと国際交流。
その両方ができるのはここしかない。

「自分で美術部を創部したことがあるくらい、美術が好きでした。でも絵を描くのは苦手で、切り絵ばっかり作っていましたね」と、笑いながら高校時代を振り返ってくれた祓川さん。私立の進学校だったので、いわゆる一般大学の文系・理系の学部に進む同級生が大半を占める環境だったとか。「だから、美大に行きたいと親に打ち明けるのはすごく勇気がいりました。以前、それとなく話を振ってみたとき、『せっかく一貫校に入ったのに、美大で何を学ぶの』って、ずしっとくる言葉を言われたこともあって……」。
それでも彼女が決心できたのは、真剣に学びたいという強い気持ちが芽生えたからだそうです。「美大に入りたいと本気で考えるようになったのは高校生のとき。国際交流を通じて外国の美術に触れと多くの国の人と交流したことがきっかけです。そこから日本のアーティストを海外に発信したり、反対に世界のアーティストを日本に紹介するかたちなら、私でも美術に関わっていくことができるかもって思ったんです」。

世界の美術・文化に対する幅広い知識を身につけつつ、国際的な視点も養いたい——。そう考えた末に辿り着いたのが、女子美の芸術文化専攻でした。「ほかの美大でも美術は学べるけど国際系の分野が学べないし、国際系の大学では美術が学べません。女子美だけが唯一両方学べる大学だったんです」。

イギリスでの研修を控えて、
慌ただしい日々。

晴れて女子美生となり、日々グローバルな視点で美術を学んでいる祓川さん。そんな彼女が最近興味を引かれているのが、“日常生活のなかの身近な美術”だそうです。
「例えばタイではこの色が好まれるけど、他の国では好まれない、というように、国ごとに好みも違うし、それによって街の中で使われる色もまったく変わってきます。いまは美術作品そのものよりも、そういった背景の部分が気になっていて、いつか自分なりに研究してみたいと思っています」。

また、現在はイギリスで行う海外研修の準備の真っ最中。現地の協定校と合同で、ポストカードの展覧会を開きます。「『Fragility(壊れやすい、脆い、儚い)』というテーマでポストカードを相模原キャンパスのすべての学部・専攻から募集し、それをイギリスへ持って行くんです。向こうの大学でも同じようにポストカードを用意していて、そこから一緒に展示を作っていく、というものなんですが、なんと私の作品が、その展覧会のメインポスターに選ばれたんです。まさか!って感じだし、ちょっとプレッシャー(笑)。選んでくれたのは向こうの先生なので、会ったら理由を聞いてみたいな」。

将来はまだ模索中。
でも、後悔だけはしたくない。

海外研修のほかにも、学校生活ではイベントが盛りだくさん。学生スタッフの活動や女子美祭の実行委員などにも積極的に関わり、そのすべてに全力で取り組む姿が印象的です。
「モチベーションを高く保っていられるのは、学校が本当に楽しいから。芸術文化専攻は12人しかいなくて、みんなすごく仲が良いんです。話しているだけで楽しいし、みんなに会えるから学校に行きたくなるんですよね」。女子美祭では、同じ専攻の有志で異例の模擬店も出店したそう。その環境が何よりの宝物なのでしょう。

そんな充実したキャンパスライフを謳歌している祓川さんのモットーは、失敗を恐れずにチャレンジしていくこと。最後に、この先2年間の目標を聞きました。
「高校の3年間には後悔がなくて、本当に良かったと思える生活を送れたんです。それは、いろんなことにチャレンジしてきたからだと思っています。私がいま女子美に通っているのも、国際交流の場に自分から飛び込んでいったから。大学生活でも最後に悔いを残さないように、どんなチャンスでも積極的に挑戦していきたいです。まだ将来就きたい職業は模索中ですが、その過程のなかで本当にやりたいことが見つかる気がしています」。
アートを軸に国際的な視点を日々育んでいる、祓川さんの将来が楽しみです。

※2019年12月に取材したものです。