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現在のお仕事に就いたきっかけは何ですか?

私は高校から女子美です。絵が好きで、特に物語に沿って絵を描くことが好きでした。最初は絵本とか挿絵に興味がありましたが、中学時代に映画を見はじめてから、役者さんの奥にあるものがお話にそって現れてくることに感動しました。そこで映画の世界に入るために、絵を描いていればきっかけがつかめると考えたのです。学生時代はいつも仕事の入り口を探していて、美術スタッフのアルバイトにもぐり込むことができました。仕事はみんなのお世話係で、お茶出しや道路で交通整理をしました。

パコと魔法の絵本
「パコと魔法の絵本」
桑島さんが美術監督として第32回日本アカデミー賞で最優秀美術賞を受賞した作品。
©2008 「パコと魔法の絵本」制作委員会

そこからどのようにして監督への道を歩んだのでしょうか?

その会社で師匠である寒竹さんに出会いました。最も影響を受けた人ですね。20年以上の師弟関係を築いています。みんなから愛される人ですが、仕事については特に何も教えてはくれません。助手をしながら見よう見まねで、現場で学んできました。25歳頃から映画やCMを任されるようになりました。映画とCMの仕事の違う点は撮影の長さの問題だと考えています。私はCMの人からは映画の人、映画の人からはCMの人と言われます。CMの仕事が多いのですが、基本的に媒体にこだわらないので、舞台でもプロモーションビデオでも何でもやります。

映画監督とお仕事をするのはいかがでしょうか?

中島監督との仕事はすごくおもしろいですね。台本を読んでいると、文で読むと1行ですが、その表現がものすごい1行だったりするのです。窓からの光が動いていて、そこに陰があって、主人公の感情を表していたりします。監督は、やりたいことがいっぱいあって、それにこっちも刺激されるし、スタッフも刺激される。その考えに負けたくないからもっとおもしろいものを持っていこうと思います。台本に描かれてない人物設定を自分で考えて、それを取り入れてもらえると嬉しいですね。

仕事で大事にしていえることはどんなことですか?

美術の現場には、大道具さん、塗り屋さん、造園部、左官屋さん、背景屋さん、装飾部、持ち道具さん、雨屋さんなど、たくさんの人がいます。彼らを全部ひっくるめたのが美術で、それをまとめるのが私の仕事です。現場では監督と相談しながらアイディアを絵に描いていったりしています。仕事で大事にしていることはみんなをびっくりさせることですね。今までやってきて、何かしたいことがあったら誰かに聞いてみると広がると思っています。自分1人でできることはそんなにないですから。